中小企業の経営者は、緊急事態に備えよう。
- 2010/3/1
- 診断士の視点
中小企業診断士 西谷 茂
企業に対して突発的な被害が発生するリスクは、自然災害やテロ、段階的に長期的に渡り被害が継続する新型インフルエンザを含む感染症等が考えられます。
企業にとって、災害や事故に遭遇しても、取引先等から業務が中断しない、中断しても比較的短時間で再開することが望まれます。又、事業継続は企業自らにとって業務中断による顧客離れ、受注量の低下、最悪の場合は廃業や倒産等から企業を守る経営レベルの戦略的課題と位置づけられます。このように事業継続を追及する計画を「事業継続計画」(BCP:Business Continuity Plan)といいます。
中小企業は経営基盤が脆弱であることが多いために、中小企業の経営者は、被害にあっても速やかに事業を継続できるよう対策を立てることが大切です。前提となる事業を中断させる要因のリスクは、企業によってリスクの違いがあります。我が国は毎年、地震、台風、集中豪雨等の自然災害が数多く発生しますので、自然災害のなかで、想像がつく大規模地震を想定リスクとして考えてみましょう。
中小企業は、大規模地震等に対応したBCP策定する場合は、事業継続と共に求められるものとして、「生命の安全確保」「二次災害の防止」「地域貢献と地域との連携」が求められます。この部分は、中小企業の事業所で建築物の規模にもよりますが消防法に基づく消防計画を管轄消防署長に届け出ています。改正消防法により消防計画に防災管理業務が加えられました。防火・防災管理業務は、人命安全の確保や建築物等の被害防止の点で、事業の重要な継続という観点においても、重要視されています。BCPに基づく事業継続の安全確保等は、消防計画の防火・防災管理業務と密接不可分な関係にありますので、防火・防災管理業務をBCPの観点から見直すことで、次の段階を考えることができます。
中小企業庁では、BCP策定運用指針を定めています。中小企業が投入できる時間と労力により、3つのコースを選択してBCP策定ができます。基本コースは、BCP策定・運用を始めようとする経営者向け、経営者1人で延べ1~2日程度です。中級コースは、BCP策定・運用について、理論を学びつつ確立したい経営者向け、経営者1人で延べ3~5日、経営者とサブリーダー含め数人で2~3日です。さらに上級コースが定められ、経営者レベルに合わせて策定できます。
中小企業の経営者は、事前に緊急時における事業継続のための方法や手段を決めておくことが重要であると考えております。