ヒト、モノ、カネや情報にバランスよく目配りを
- 2010/8/1
- 診断士の視点
中小企業診断士 大塚 照
経営資源はヒト、モノ、カネや情報と言われますが、中小企業経営者の中にはややもすると得意分野のみに傾注するケースが見受けられます。アパレル関係中小企業の経営相談を受けた時のことです。この会社ではモノについては非常に神経を使っていて、色彩に関するセンスも良く、デザインも優れた商品を作っています。また販売促進ツールとしてのダイレクトメールや発行している新聞も分かりやすい文章、写真やイラストによりできています。
一方、カネについては無頓着なところがあり、資金需要が出てくると金融機関に駆け込み融資を申し込んでいたため、金利は金融機関のプロパー金利が適用されていました。資金不足のため、「景気対応緊急保証制度」を利用して、融資を依頼しました。リーマン・ショック後の不況下では、信用保証協会100%保証であるにもかかわらず、借入金依存度が高かったこともあり、金融機関はなかなか融資に応じてくれません。また情報についても企業にとって有利な情報を収集することに熱心でなかったので、金利面等で有利な県や市の融資制度を全く利用していませんでした。
これらへの対策として、月次決算が出た時に業績や業界の動向などを金融機関に話しに行くなど普段から金融機関との良好な関係を構築する工夫が求められます。また企業にとって役立つ情報を収集するために、業界団体からの連絡、税理士や取引金融機関からの情報などに十分注意する必要があるでしょう。
大企業ですと経理・財務、人事・労務、製造などそれぞれの分野に専門家がいて、役割分担により機能を遂行しています。中小企業経営者はヒト、モノ、カネや情報の全てについてバランスよく目配りすることが望まれています。仕事に追われて時間がない時や経営者にとって得意でない分野がある場合は、外部の専門家を利用することも一つの方法です。経理・財務であれば税理士・中小企業診断士、人事・労務であれば社会保険労務士・中小企業診断士、経営全般なら中小企業診断士など外部の専門家を有効に活用することが期待されます。