企業の主治医として
- 2010/10/1
- 診断士の視点
中小企業診断士 小林 巽
もう10年位前になりましょうか。京都での仕事が早目に終わったので、厳しい残暑を逃れて憩いの場をと訪れたのが、奥嵯峨野の二尊院でした。本尊に「釈迦如来」(人が誕生し人生の旅路に出発する時、送り出してくださる“発遣の釈迦”)と「阿弥陀如来」(その人が寿命を全うした時に極楽浄土よりお迎えくださる“来迎の阿弥陀”)の2尊を祀ってあり、ご本尊に2体あるのは珍しいことのようです。また、裏山には藤原定家が百人一首を選定した場所として名高い「時雨亭」の跡があります。
その本堂で手にした「心の糧 7ヶ条」に感銘し、私の信条ともいうべき「死ぬまで働く」が固まったわけですが、その一文が次のようなものでした。
1. この世の中で一番楽しく立派なことは、生涯を貫く仕事を持つ事である。
2. この世の中で一番寂しいことは、自分のする仕事のない事である。
以上がわたくしごとでしたが、中小企業の経営者の方々にも是非そうであって欲しいと願っております。
企業は「社会の公器」であって、永遠に存続し続け、世の為・人の為に貢献する宿命を負っております。しかしながら、挫折する企業が目立つのが昨今です。グローバル化による「世界との競争」、「少子化・高齢化での人材難」、「後継者難」などの経営課題が時流として表面化し、その結果「仕事量の確保難」、「ものづくりの危機」、「新製品・新技術の開発難」、「資金調達難」等で、中小企業の経営は一層の厳しさを増しております。
私ども経営コンサルタントは、「企業の主治医」を自負しております。病院の診察で熱や血圧・脈拍などを看護師がはかりますが、これは現象についての情報を医師に提供するもので、医師はこれら情報を踏まえ病気を特定し、必要な処方箋を作ります。中小企業診断士である経営コンサルタントは、経営不振の原因を突き止め、有効な対策を経営者に提言するもので、医師の役割に似ております。ただ、残念なことは、私どもが相談を受けた時
に、もう少し早く来られたら色々な処方箋を準備し、回復が早められたのではないかと危惧することです。
経営コンサルタントへの相談は、「川崎市産業振興財団」や「かわさき中小企業診断士クラブ」でも、原則として無料で承っておりますし、有料の場合は相談させていただいております。中小企業が元気になり、一層の発展をいたしますようにと願って支援に力をいれておりますので、お気軽にご相談ください。