変える勇気、守る責任

中小企業診断士 山内 喜彦

激しい競争の中で、皆さん方の会社が生き残っていく為に必要なものは何でしょうか。それは、経営者の皆さん方が、将来の事業環境変化を、いち早く捉え、その変化に対応出来るよう経営の仕組みを見直し変えていく勇気を持つこと、従業員の皆さんが安心して働ける場を提供する責任を持つことです。

「変わらなければ破滅する」

時代の流れは目まぐるしく変化しています。イギリスの博物学者ダーウィンの言葉を借りれば、「最も強いモノや、最も賢いモノが生き残るのではない。最も変化に対応出来るモノが生き残る。」のです。企業間の競争は、「弱肉強食」ではなく、「適者生存」こそが真理なのです。高い利益をあげると、「あそこはがめつく儲けている。」と言われる事があります。しかし、それは、お客様に信頼され支持されてきた、努力の結果なのです。
滅びる企業は競争相手に負けたのではなく、日々刻々と変わっている環境にうまく適応出来ずに、お客様の支持を失ったのです。お客様や競争相手が変わろうとしている時に、自分が変わらなければ生きてはいけません。
しかし、簡単に「変化への対応」とか「適応能力」と言っても、これまでに多くの成功事例を経験された皆さんには、「変化することは非常に勇気のいること」になります。
このままでは駄目だ、これまでと違ったやり方をやろうと考えても、変化には反動は付き物ですから、仲々自分一人で決断することが出来ません。適者になる為には、一時の落ち込みには歯を食いしばって頑張らねばなりません。もう駄目だと思ったら終わりです。「変える勇気」と「変えようとする強い意志の力」が必要になります。
会社の変革は、誰かがやってくれるものではありません。経営者の皆さん方御自身が自ら先頭に立って行うものなのです。皆さん方御自身が思い描く「ありたい姿」を実現する為に、「今変えなければならないこと」は、何でしょうか? また、それは、いつまでに達成すべきでしょうか? その為には、お客様や競争相手は何を考えているのか?それに応える自分の持っている経営資源は?といったことを常に振り返り、具体的な変革の着地点を明確にしていく必要があるでしょう。
「今迄うまく行っていたから、それを続ければいい」と言う考え方では市場から退場を迫られます。「将来の為に、今何をすることが最も効果があるのか」という発想が不可欠であることを肝に銘じて戴きたいと思います。

「お客様満足度は従業員満足度から生まれる」

何処の会社でも、お客様満足度の向上ということを経営方針に掲げていますが、従業員満足度の高くない会社には、お客様を満足させるにたる製品やサービスの提供は行えません。
会社は誰のものかということが以前によく言われました。最近では、会社は誰の為にあるのかを問う方が重要ではないかと言われるようになり、中でも、従業員の為にあると考えるべきではないかと言われるようになりました。皆さんの会社の従業員の方々は、自分の会社がいつまでも安心して働ける場であることを願っています。そして、給料が高いとか福利厚生が整っているとかではなく、そこで働くことで働き甲斐や誇りを感じることが出来ることを願っているのではないでしょうか。
企業の競争力の源泉は人であり、そこで働く人達の総和が企業発展の基盤となります。変化が激しくなる中、経営者の皆さん方が明確な哲学を持ち、従業員の方々が皆さんと同じ気持ちになって仕事をする。そのベクトルが揃っていなとうまくは行きません。お互い同じ方向に向いて仕事をしているかどうかで、仕事から得られる幸福度は大きく変わってくる。
会社は皆を幸せにする場です。気持ちよく働ける場が提供できるかは、経営者の責任といえます。市場の変動を言い訳にするのではなく、どんな状況においても、従業員の生活を守っていく責任を経営者の皆さんには求めたいと思います。

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