今こそワークライフバランスを見直してみませんか?
- 2011/6/1
- 診断士の視点
中小企業診断士 川口 紀裕
今こそワークライフバランスを見直してみませんか?
先の東日本大震災で被害を受けた方にはお見舞い申し上げます。今回の震災では甚大な被害が生じ、日本各所に様々な影響を与えています。特に原発の影響に伴う、計画停電は直接地震の被害にあっていない地域でも多くの方が経験されたことでしょう。
今夏の大規模停電を回避するために、現在各所で節電に取り組んでいます。店舗や街の照明を減らしたり、電車の運行本数を減らしたりなど様々な方策がとられています。
そして、今回の停電は働き方を見直す一つのきっかけになるとも言えます。ワークライフバランスを見直し、無駄な残業を減らすことで節電に貢献する。従業員に時差出勤を認めたり、早く帰してあげたりすることで従業員の通勤負担を軽減する。節電をきっかけに、これらについて考えてみませんか。
ワークライフバランスとは、その名の通り仕事と家庭のバランスをとりましょうということです。とてもおおざっぱな捉え方をするならば、一日24時間のうち、8時間働いて、8時間睡眠をとり、8時間自分のための時間とするのがバランスが良いということです。
ワークライフバランスを実現するためには、残業を減らす必要があります。制度的にはノー残業デーを設けるというやり方があります。ただし、なかなかこのやり方だけでは残業が減らないというのが実情です。
企業がワークライフバランスの実現を目指すには、まず重要なことは仕事のしくみを見直すことです。仕事のやり方は今まで通りのままなのに、経営者がかけ声だけで残業を減らせというのでは実現はまず不可能です。
例えば、経営者や経営幹部が自らリーダーとなって、プロジェクトチームを作り、業務フローの現状確認と見直しを徹底的に行いましょう。見直す際には、既存の枠組みに縛られない柔軟な発想が必要になります。ブレーンストーミングなどを使って幅広い考えをもって改善アイディアを出すようにしましょう。
仕事のしくみを見直す際の留意点は大きく二つあります。一つは、犯人捜しをしないということです。業務の見直しをする際に陥りがちなのが、○○(誰か)さんの仕事の進め方に問題があるというように個人に問題を押しつけてしまうことです。こうしてしまうと、指摘される側も反発してしまい、ますます業務改善は進みません。あくまでも全員で業務フローを改善するということを意識しましょう。
もう一つは、事前に従業員の意識改革をするということです。現実的には、無意識のうちに残業を容認している、残業ありきのワークスタイルをとっているという従業員もいます。このような現状容認の意識では、なかなか改善が進みません。ワークライフバランスを整えることが企業にとって、従業員にとってどんなメリットがあるのかを事前に理解してもらう必要があるでしょう。
実際には、ワークライフバランスには労働時間の短縮の他に、女性や男性の育児機会の創出、男女平等の推進などがあります。興味のある方はぜひ調べてみましょう。「ワークライフバランス事例集」という言葉で検索すると、各自治体が公表している実践企業の実例を見ることができますので参考にしてみてください。
結果的に、ワークライフバランスの実現は、優秀な人財の採用や確保につながり、企業の生産性も高まっていきます。今回の停電を一つの契機にして、皆さんの会社のワークライフバランスを見直してみることをぜひお奨めします。