中小企業診断士 福島一公(ふくしまかずまさ)
昨今はホームページを公開することは、顔写真つき名刺を出すこと、また、広告看板を掲げることと同じ程度に重要になってきたと思われます。ビジネスマンにとって目的の会社を訪問する際にはまず、ホームページが公開されているかどうかを確認することはほぼ常識になっているからです。また、ホームページが公開されていなければ、それなりの会社なのだと誤解されてしまう恐れがあるといっても過言ではありません。
あるワイヤーハーネスを製造する有力な中小企業の社長は言います。「商談に行くと顧客からホームページは持っているかと聞かれる。どうも、商談が終わった後、ホームページでこちらのことを確認しているようだ。」と。また、こうも言います。「自分はホームページなどいらないと思っていたが、次期社長の息子を含めた若手が是非ホームページを作らせてくれというので、ホームページを作らせた。そうしたら、受注が増える効果が確かに認められたんだ。そこで、同業者などにホームページは作った方がいいよと言っているんだ。」と。
一方で、競争の激しい印刷業界の零細な会社の社長は言います。「ホームページを作ったんだけれど、今は余り更新しないようにしているんだ。なにせ、見積もりを要求してくるのはいいんだが、他に何社も同じように問い合わせているようで、問い合わせ先はただ価格の安いところに出したいだけらしいね。見積もりを出すだけで手間だから、あまりホームページの更新には力が入らなくなったね。」と。
これらの事例にみられるように、ホームページも使い方次第の面があるということです。ただし、私はネットで商売するつもりがあるかないかないかは別として、やはりホームページは公開するべきだと思います。ネット社会においてホームページが公開されていないのは、存在しないも同然だからです。何かの業務で取引先候補を探し出すにしても、手っ取り早いのは同業者に教えてもらうか、ネットで検索して見つけ出すことだからです。また、同業者に教えてもらった事業者にしても、ホームページが公開されていて会社の規模や事業内容が紹介されていれば、一つの安心材料にはなります。ましてや、見ず知らずの会社に初めてコンタクトをとるにしても、相手方の会社の内容がある程度分かっているのといないのとでは、大きな違いがあります。
ところで、ホームページの作成には業者に頼まなければならず、高い金がとられるのではないかという先入観があるかもしれません。また、あまりよくない業者に発注したために費用が高くついたという話を聞くこともあるかもしれません。自社で作ってみたが効果はさっぱりということもあるでしょう。これらはやはりホームページに何を求めるかという目的と、周到な準備が足らなかったためと言わざるをえません。やりようによってはコストを低く抑えることもできるからです。インターネットでは安くホームページを公開する方法がいくつも紹介されています。それによれば、ホームページを公開してネット取引を行うのでなければ、それほど費用もかからず、メンテナンスも楽だということです。まず、自社の存在を主張するだけの目的で、小さく生んで大きく育てていくという考え方が重要となります。積極的に取り組むのであれば、ブログやツイッターといったものと組み合わせて、新しい情報を比較的簡単な方法で開示することも可能です。これらもやりようということです。食べず嫌いはやめて、まず始めてみてはいかがでしょう。