中小企業診断士 宮島 仁
先の北アフリカのチュニジアでのジャスミン革命ではFacebookなどを通じたインターネットによる情報交換・共有が威力を発揮し、最近ではアメリカのウォールストリートでの格差是正のデモにおいてもFacebookが活用されています。Facebookや、mixi、Twitterなどは、ソーシャル・メディアやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)と呼ばれ、人と人とのつながりを促進・サポートする、コミュニティ型のWebサイトの事です。日本でのパソコンでの利用者数はTwitterが1,466万人、mixiが1,286万人、Facebookが8204万人です(2011年5月、ニールセン社による)。またスマートフォンの普及によって今後は閲覧者の増加も予想されます。
これらのSNSの威力を上手く活用している企業もあります。ホームページで伝えきれない情報を発信して、ホームページへの誘導や商品・サービスの認知、購入への誘導に活用しています。
具体的には例えば、某航空会社では“Facebookページ”というFacebookのホームページ的なサービスを利用して、社員が個人名で様々な情報提供をしており、見ている人に旅行に出かける気分を誘発するような地方都市の情報などが満載です。また全国から集まってきた花を花屋さん等にセリで販売している花市場でも、今日のお勧め品や初出荷、産地見学の情報など、タイムリーな情報提供をしています。概して企業のホームページでは企業の紹介・商品やサービスの紹介など、どちらかと言うと硬い表現・内容での情報提供となりますが、“Facebookページ”では、自社製品・サービスの購入に繋がるような情報提供に取り組んでいる企業が多く見受けられます。日本でのSNSの草分けであるmixiでも同様のサービスを行っていますし、最近ではGoogle社もGoogle+(グーグル・プラス)というサービスに力を入れています。
また、ホームページで“twitterをはじめました!”なども良く見かけます。経営者や担当者が、仕事にまつわる話や個人的な話をつぶやいて情報発信しています。それによってネットワーク上での繋がりを広げて行き、会社や経営者、担当者の人間性をアピールして仕事に役立てようとしているのが狙いの一つです。たとえば飲食店の場合では、「最近、野菜が高騰して四苦八苦しています。でもお客さんの笑顔を見ると、もっと頑張らねば!という気持ちになります。」などのつぶやきで共感を得て集客に繋げる取り組みなどです。
これらのSNSでのサービスの影響か、最近では企業のホームページを単なる“ページ”ではなく、“公式ページ“と呼ばれるようになってきました。企業のホームページを立ち上げる場合には、業者に依頼して本格的に制作すると20万~30万程度が必要で、中小企業にとっては、効果も見えないために未だにホームページの構築を躊躇している会社も多く存在しています。また折角作ったホームページ自体に集客力がなく、効果がまったく上がらない企業も多く存在しています。Facebookなどに代表されるSNSは、個人での利用が簡単にできるように工夫されており、使い勝手やコストの点でのハードルは格段に低く、自社ホームページへの誘導や、自社のアピールに有効です。インターネットの世界では、ホームページが商品カタログ、SNSが営業トークといった位置づけです。単にカタログを置いているだけでは効果は期待できません。信頼関係を構築するための人間性を伝える営業トークが重要です。皆さんもSNSに取り組まれてみては如何でしょうか?