“会議の効率化”は経営課題
- 2012/3/1
- 診断士の視点
中小企業診断士 小野寺義明
貴社の会議は効率的に行われていますか?
「会議は原則であるよりも、むしろ例外でなくてはならない。」
かのピータードラッカーはこのように表現したそうですが、現実のビジネスにおいては(特に上位者ほど)会議だらけという会社も珍しくありません。
そんな中、大手T自動車では、意思決定の迅速化を目的に権限移譲と会議の効率化をプロジェクトとして推進しています。また化粧品大手のS社は全業務時間の15%を研究活動に充てるため、時間捻出の策として会議の効率化に着手しています。
会議といっても、ブレーンストーミングなどの拡散型会議から、意思決定などを行う収束型会議、意思統一を図る情報共有型など、いくつか類型がありますが、類型に関わらず“会議が効率的でない”という声が聞かれます。効率的にならない原因である問題現象は、
- 一方的な独演会になってしまう(特に上位者にみられる)
- 発言をしない傍観様子見者がいる
- 議題が多すぎてまとまらない
- 批評はするが、代替案や具体案を出さない評論家の存在
- 議題から話題がそれる
などが挙げられますが、その真因となるのが“事前の会議デザイン不足”であると考えます。特に“会議の議題・目的が不明確で共有されていない”ために出席者の意見がばらつき、“会議場で意見がまとまらない”ということが会議を非効率にしている大きな原因ではないでしょうか?まとまらない会議が多いから会議数が増えるのです。
効率的な会議の理想としては、日時(何時から何時まで)・場所の明確化に加え、
- ゴールとなる目的は何なのか?
- 目的を踏まえ、この会議においては何についてどこまで検討・討議するのか?
- 参加メンバーは誰なのか?また役割はどうなのか?
少なくともこれらの情報は会議参加メンバーに事前に通達し、参加メンバーは討議内容について裏付けを取り、自分の考えを明確にして会議に臨むことが求められます。
つまり会議を事前化するとも言えます。
これらを実現するには、会議主催者や参加者の会議スキルアップが求められますが、背景には、上位者の強い推進とその意識醸成徹底、継続的啓蒙活動が必要になります。
2008年度の中小企業白書によると、日本のGDPを向上させるには、出産後の女性の活用とともに、労働投入量当たりの付加価値額を伸ばすこと、つまり社員一人ひとりの生産性を上げることと結論付けています。
生産性を上げるために、大きなウエイトを占める会議を効率化し、より業務に集中する。このことは今後厳しい競争を勝ち抜くうえでも大きな武器となり、それを実現するにはトップが経営課題と考え、強く推進して行くことが重要だと考えます。