今、改めてマーケティングを考える ~4Pから4Cへ~
- 2013/12/1
- トピックス
中小企業診断士 入谷和彦
マーケティングは企業にとって永遠のテーマです。どんな企業や組織においても、マーケティングの重要性は認識されており、製造業を含めた中小企業でも同じです。しかし、あまりうまくいっていないケースが多いのも実情です。
その昔、マーケティングとは「良い物を(Product)安く作って(Price)広く販売し(Place)、大規模に宣伝すれば(Promotion)売れる」とされていました(これを「古いマーケティング」とします)。
これに対して、ドラッカーは「企業活動の目的は顧客の創造である」と言いました。マーケティングの神様と言われているコトラーは、「マーケティングとは、個人や組織のための優れた価値を創造して提供し、顧客の必要(ニーズ)とし欲求(ウォンツ)を満たすことをするプロセス」(私流の要約です。これを「新しいマーケティング」とします)と定義しました。どちらも顧客視点からの出発が鍵になっています。
高度成長期の「作れば売れる」時代は「古いマーケティング」が通用しましたが、さすがに21世紀の日本でも通用すると考えられる方はいないでしょう。しかし、「新しいマーケティング」を本来の意味で実現するのは、なかなか難しいようです。
「新しいマーケティング」におけるマーケティング活動の手順は、大雑把には以下のようになります。
①ビジョン(どのような企業になり、何を達成したいのか)とミッション(「その企業の存在理由」つまり提供する商品・サービスによって顧客にどのような価値をもたらすか)を設定する。
②SWOT(強み、弱み、機会(チャンス)、脅威(ピンチ))、および競合相手を分析する。
③マーケットのセグメンテーション(区分け)を行ってターゲット層を設定する。
④ポジショニング(ターゲット層が感じる価値を分析・調査して求め、これに対してどうアプローチして、競合相手と差別化するか)を立案する(ブランド化を含む)。
⑤具体的なマーケティングミックスとして、4P(Product(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(プロモーション))を決定する。
⑥実施計画の立案と実施。
以上の手順は、中小企業の場合、中期的な戦略策定を行う際の手順と、ほぼ一致します。
マーケティングが難しくて失敗するケースが多いのは、どの手順にも落とし穴があって、どこかで間違えると失敗してしまうからです。特に⑤の4Pは、あくまで売り手側の視点であり、「古いマーケティング」の亡霊を呼び起こしやすい部分です。
そこで最近、この4Pを顧客側の視点の4Cに置き換えるようになってきました。
- Product(製品) → Customer Value(顧客価値)
- Price(価格) → Customer Cost(顧客コスト)
- Place(流通) → Convenience(利便性)
- Promotion(プロモーション)→ Communication(コミュニケーション)
これならば、「古いマーケティング」ではなく、「顧客の価値を創造し(Customer Value)、顧客が価値に見合うと考える価格をつけ(Customer Cost)、創造した価値にアクセスしやすい手段を講じて(Convenience)、創造した価値を顧客に知らせる活動を行う(Communication)」となり、ドラッカーやコトラーからの「新しいマーケティング」につながります。マーケティングに際しては、4Cの観点で検討されることを、お薦めいたします。