中小企業とアベノミクス3本目の矢「成長戦略」
- 2014/4/1
- トピックス
代表幹事 山﨑 康之
一昨年の暮れ安倍首相に政権が交代し、経済政策アベノミクス3本の矢が発せられ1年3ヶ月が経過しました。
第1の矢「大胆な金融緩和」、第2の矢「機動的な財政政策」については円安と株高の進行、公共事業の増加、大手企業の業績の回復など確実に景気回復の兆しが見え始めています。特に大企業においては、設備投資やベースアップなど実行に移し日本経済の成長を牽引し始めております。
然しながら、中小企業においてはまだアベノミクスによる好影響は表れていないのが実態です。も少し時間がかかりそうです。しかし、大企業が積極的に製品開発や増産に移っていけば、新規採用等雇用の拡大は勿論、その下請的存在の中小企業にとっても受注の機会が得られる。つまり、その恩恵を受けることが可能になります。
さて、アベノミクスの本命、3本目の矢「民間投資を喚起する成長戦略」は中小企業にとってどのような存在になるのか考えてみたいと思います。
安部政権が掲げる「成長戦略」は「日本再興戦略」(2013年6月14日閣議決定)として、攻めの経済政策を実行し、困難な課題に挑戦する気持ちを奮い立たせ(挑戦/チャレンジ)、国の内外を問わず(海外展開/オープン)、新たな成長分野を切り開いていく(創造/イノベーション)ことで、澱んでいたヒト・モノ・カネを一気に動かしていく、つまり、今まで止まっていた経済が再び動き出す中で、新陳代謝を促し、成長分野への投資や人材の移動を加速することができれば、企業の収益も改善され給料アップ、雇用の増大という形で国民に還元されることに繋げられる。そうすれば、消費が増え、新たな投資を誘発するという好循環が実現し、地域や中小企業・小規模事業者にも波及していくことを想定しています。
確かに政府主導で成長戦略を進めるための具体的施策とアクションプランを策定し、実行に移すべく努力しております。成長戦略は企業自身が永続的に成長・発展し、従業員の生活維持向上や地域経済の活性化に貢献するために不可欠であることは言うまでもありません。成長戦略における政府の役割は企業が自身の成長戦略を策定し、スムーズに実行し、成長・発展していくための環境を整えることです。そこで日本経済の持続的成長を実現していくには官民が一体となってそれぞれの役割をわきまえて成長戦略を実行していくことが重要です。中小企業も政府が餌を準備するのを待つのではなく、自ら成長戦略を策定し(企業経営の基本)、積極的果敢にチャレンジしていくことが、自身の成長・発展に繋がると確信しています。
また、日本再興戦略では明確な成果目標(KPI)を掲げています。例えば、「2020年までに黒字中小企業・小規模事業者数を70万社から140万社に増やす」では、その達成のために中小企業・小規模事業者に対し成長分野進出に向けた専門的支援体制の構築、具体的には、ものづくり産業の強化を図るべく中小ものづくり高度化法の見直し、医療・環境分野などの成長分野に中小企業・小規模事業者が直接参入しやすくすることなどを取り上げています。
これらに対応すべく、かわさき中小企業診断士クラブも国・地方公共団体や地域金融機関、中小企業・小規模事業者関係団体と一体となって、川崎市内の中小企業・小規模事業者の成長・発展を図り、地域経済の活性化に貢献すべく会員一同一丸となって取り組んで参る所存です。