補助金との正しい付き合い方
- 2014/5/1
- 診断士の視点
中小企業診断士 有松 竜文
助成金と補助金の違いを意識したことはあるでしょうか。どちらも、国や地方自治体からいただけるお金という点では同じですが、助成金は要件が合えば基本的には受給できるもので、補助金は予算枠があるため、要件が合っても受給出来ない可能性があるという点に違いがあります。中小企業診断士が活用する制度の多くは、創業補助金・ものづくり補助金などの補助金事業となります。
補助金の多くは、給付者を厳選するために計画書を提出し採択を行い、その計画に基づく費用に対して一定の補助率(例えば2/3)をかけた金額を補助上限額の枠内で支払うという形式をとっております。申請者側としては、せっかく採択されたのに補助金額が少ないと損した気分になるので、補助上限額で申請しようという気持ちになってしまうのは仕方がないと思います。しかし、本来不要である費用を使うことは、申請者側にとって本当に得していると言えるのでしょうか。
ここで、少し違う観点で考えてみたいと思います。消費税の引き上げに伴い、巷では倹約指南本が数多く出版されています。ある識者の本では、お店ごとにポイントカードを作り、うまく活用して少しでも得をしましょうと説いています。また、別の識者の本では、ポイントカードの活用はできる限りやめるべきとしています。なぜならば、ポイント数倍等のキャンペーン時に不要な買い物が増えてしまい、結果的に無駄な出費が増えるからと説いています。どちらの意見も納得する部分があると同時に、凝り固まった意見とも感じます。結局のところは、「必要な買い物をして、結果的にポイントが貯まればお得」という折衷的な立場を維持することが、好ましいと言えます。
再び、補助金について考えたいと思います。皆様もお気づきの通り、無理に補助上限額で申請することは、ポイントカードの事例の不要な買い物を行い、無駄な出費をしていることと同じです。また、300万円の設備を100万円の自己負担で購入したとしても、有効活用できないのであれば、その100万円を別の事業に活用したほうが、売上が伸びて、企業としてお得であったかもしれません。つまり、本来不要である費用を含めて補助金申請を行うことは、申請者側にとって本当に得していると言えず、逆に補助金で得られる効用を損なってしまっているとも言えます。
補助金申請で採択された事例をみると、補助金事業が無くても実施していたと思われる計画、つまり本当に企業にとって必要な費用が書かれている計画が多く採択されていると思います。なぜならば、身の丈に合った計画でしっかりとした根拠があり、考え抜かれた計画になっているからです。補助金を目当てに行動するのではなく、結果的に補助金が使えて助かった、というような付き合い方が正しいのではないでしょうか。