事業発展計画作成のおススメ
- 2014/11/1
- 診断士の視点
中小企業診断士 高橋栄一
ある産業廃棄物収集運搬業者から、財務診断書の作成を依頼された。これは都道府県に産業廃棄物の収集運搬や中間処理などを行う場合、債務超過になっている業者に、中小企業診断士又は公認会計士が財務診断書を作成することになっている。
企業が作成した中期計画に対して、財務担当責任者にヒアリングを行った。累積損失の一掃に10年かかる計画である。
財務担当者から「受注の多い解体工事の処理のために、新規設備を導入したい。設備投資額は8,000千円であるが、分割で購入することにしたい」との提案があった。
私から「投資の回収のためには、年間1,100千円の減価償却費がかかる。売上総利益率を35%とすると、必要売上高は3,100千円である。この機械を導入すると、いくら売上は見込めるか」。
財務担当責任者「×××千円見込めます」。
私「解体工事以外に、収集運搬や処理収入も見込めませんか」。
財務担当者「収集運搬○○○千円、処理収入△△△千円です」。
これらの数値を中期計画にその場で落とし込んだ。すると、その中期計画が劇的に変わった。
何と単年度黒字化になり、累積損失が5年で一掃できることがわかった。財務担当者は驚いた。新規設備の導入が重要であることがわかったので、社長を説得することになった。このように中期計画を作成することによって、どのような対策を講ずれば、業績が良くなるかがわかる。
また、神奈川県が作成した経営革新承認申請書作成用の支援ツールを活用して、決算書を良くわからない後継者が、中期計画を作成した。後継者は「何をすれば業績が良くなるかがわかった。運転資金がいくら必要かわかった。計画を達成するために、何をなすべきかがわかった」と話してくれた。
ジム・ドノヴァンは著書「誰でもできるけれど、ごくわずかな人しか実行していない成功の法則」で『ゴールを決めるだけで、成功は確実だ。ゴールを決めよう』と言っている。
良く中小企業の経営者から、「計画を作成しても、その通りにならないので、作成しても無駄である」と聞く。あくまで計画である。環境変化があれば修正すれば良い。そして、目標に向かって実行することが成功へ近づく。事業計画は事業経営のスタートである。事業計画を作成している企業は、業績が総じて良い。
11月21日(金)18:30から川崎市産業振興財団主催セミナー「事業発展計画書の作成のススメ~決算書が読めない人でも作成できる~」で、受講者と一緒に学習することにしていますので、是非ご参加ください。