今がチャンスです!女性活躍推進の取り組み

菊地 和志

女性活躍推進法について

皆さま、女性活躍推進法をご存知でしょうか。この法律は、労働人口の減少問題を背景として、女性の仕事における活躍を推進することでその対応を図ろうとするものです。

その概要は、企業における女性活躍に向けた課題を特定し、その対応策となる行動計画の策定・届出を実施し、PDCAサイクルを回すことで活躍する女性の割合を高めていこうというものであり、10年間の時限立法として平成28年4月から取り組みが進められています。従業員数が301人以上の大企業では法対応の取り組みが義務となっていますが、300人以下の中小企業については努力義務となっています。

しかし、全労働者の7割を占める中小企業において女性活躍推進の取り組みを本格化させなくては、抜本的な社会課題の解決につながらないことから、厚生労働省は平成28年度より「中小企業のための女性活躍推進事業」として中小企業における女性活躍推進の取り組みを集中的に支援しており、支援者として全国47名の女性活躍推進アドバイザーを任命しています。

私は本年度(平成29年度)の女性活躍推進アドバイザーを拝命し、全国説明会セミナーへの登壇や相談会の実施、企業に訪問し計画策定を支援する活動を実施させていただいております。1年間のアドバイザー活動を通して、働き方改革の取り組みや人手不足の高まりに伴って経営者における女性活躍推進への関心は日増しに高まりつつあると感じていますが、企業における重要な経営課題の位置付けで取り組みを進めている企業数は、まだまだ少ないとも感じています。

ひとつでも多くの企業で女性活躍推進の取り組みが進むよう、その進め方について解説させていただきます。

女性活躍推進法の取り組みの進め方

女性活躍推進の取り組みは大きく4つのステップで進めていきます。

第1ステップでは、まず自社の女性活躍の状況を把握し、課題を分析します。自社の状況把握において必ずチェックすべき項目として、基礎4項目(①採用した女性労働者の割合、②男女の平均勤続年数の差異、③月ごとの平均残業時間数等の労働時間の状況、④女性管理職割合)が定められており、基礎4項目の分析から詳細分析を経て問題点を特定し、目標設定につなげていきます。

第2ステップで課題対応の内容を行動計画の形にまとめます。行動計画の形式は自由ですが、①計画期間、②数値目標、③取り組み内容、④取り組みの実施時期を盛り込むことが必要です。策定した行動計画は、社内掲示やイントラネット掲載、自社ホームページ等に公表して周知を図ります。

第3ステップで「女性の活躍推進企業データベース」(参考URL参照)に情報を公表し、都道府県労働局に行動計画の届出を実施します。

第4ステップで計画に沿ってPDCAサイクルで取り組みを進め、えるぼし(認定)の取得を目指します。

出典:厚生労働省 平成29年度中小企業のための女性活躍推進事業説明会資料

女性活躍推進に取り組むメリット

女性活躍推進に取り組む企業の目的として多いのは、採用における競争優位を確保しようというものですが、女性活躍推進に取り組むメリットは採用に限らず、従業員のモチベーション向上や働き方改革を通じた業務プロセス改革、プロダクトイノベーションの実現、認定取得による公共入札の加点評価や資金調達における優遇金利の適用、助成金の獲得など多くのメリットが期待できます。

神奈川県に本店を置く、従業員数300人以下の企業のうち行動計画を策定し、公表を行っている企業数は108社(川崎市は6社)であり、業種としては建設業、サービス業、卸・小売り、医療・福祉、情報通信の順で多く、人手不足の対応策として女性活躍推進が位置づけられていることがうかがえます。

厚生労働省「女性の活躍推進企業データベース」検索結果を元に筆者作成

えるぼし認定の取得に至っている企業はさらに少なく、わずか3社(川崎市は0社)にしか過ぎません。この状況は先行して女性活躍推進に取り組むことが、中小企業において大きな効果をもたらすことを意味しています。

是非ともこのチャンスを活かして、皆さまの企業でも女性活躍推進に積極的に取り組んでいただくことを期待します。

通常業務と並行しての行動計画策定作業は負荷が大きいケースもあろうかと思います。その際は、中小企業のための女性活躍推進事業の支援を有効に活用していただければと思います。

参考URL

 

関連記事

Change Language

会員専用ページ

ページ上部へ戻る