頭の整理の仕方

関根 清一

経営課題の整理

会社の経営課題には様々なものがあります。例えば、経営戦略、販売・営業、製品開発、生産・技術、資材・購買・外注、財務・会計、人事・労務、情報、国際化・環境などが挙げられます。頭の中では、同時にあの課題を考えたり、この課題を考えたりしているのではないでしょうか。自分の頭の中で考えているだけでは、すぐ他のことに関心が移ってしまい、なかなかまとまらないことがあります。まず、考えたこと、思いついたことを忘れる前に書くことが大切です。

また、考えの引き出しは、頭の中だけでしょうか。漢字は手で書いていないと、書き方をすぐに思い出せないことがあります。この場合、手が考えの引き出しになっているといえないでしょうか。同様に、足や脊髄の体の各所、体全体も考えの引き出しになってくれています。頭の記憶、体の経験から引き出して言葉にして行くことが大切です。

 

2.短期記憶と整理の枠組み

米の心理学者ジョージ・ミラーは「人は一度聞いただけで、直後に再生できる記憶は7±2」とし、マジカルナンバーと呼ばれています。短期では7つかもしれませんが、長期では3つだと思われます。この3を整理の枠組みとして使います。

3つの枠組みとして、具体的には、会社の資源としてのヒト・モノ・カネ、管理サイクルの計画・実行・評価、三方良しの売り手良し・買い手良し・世間良しなどが挙げられます。3つにするとわかりやすく、整理しやすく、長くその枠組みを覚えることができます。具体的に例を挙げる場合も3例挙げるとわかりやすくなります。この3を把握していれば、会社の資源に情報を加えるなど3+1にして枠組みを発展させることもできます。

考え、思いつきは言葉にして分類し、整理することにより理解することができます。自分の頭を整理する際に、項目は何であれ、枠組みを3つ用意すると理解・整理がしやすくなります。

また、枠組みとして2つの対立する軸を使って4象限でものごとを整理するのも便利です。

 

3.ネットで気にかけること

ど忘れして、すぐにネットで調べ納得し、その数分後にはまた忘れているということはありませんか。急ぎの情報は調べる必要がありますが、時間がかかっても構わないものは頭の中で寝かしておくとそのうちに思い出すことがあります。頭の回路はすぐにつながるときと時間がかかるときがあります。時間がかかっても回路をつなげる習慣をつけておかないと回路がつながらなくなりそうです。

ネットで調べようと思ってブラウザーを立ち上げたら、本来見ようとしたことではない芸能ニュースなど別のものを見ていることはありませんか。そのうちに、何を調べたかったのかを忘れてしまいます。この場合、調べたいことを内部記憶装置の頭ではなく、外部記憶装置の紙のメモに書くのが便利です。

考えに集中したいときはPCやスマホを遠ざけ、メールは見ないことが必要です。入ってくる情報を少なくするとものごとが落ち着いて考えられます。視覚情報を敏感に吸収しすぎないことも大切です。断片化された情報の中で、いかに集中するかが求められます。

 

4.頭の整理の1テクニック

エクセルを使って頭の中を整理するテクニックをひとつ紹介します。

まず、A4用紙の裏紙を用意し、半分のA5にし、クリップで留めてメモ紙にします。A5にするのは扱いやすいからです。

次に、このメモに特定のテーマで思いついたことを次々書いていきます。メモは箇条書きです。テーマは経営課題の販売・営業などなるべく一つにします。本稿ならば「頭の整理の仕方」で思い浮かんだことです。

思いついたことを書くスピードが思いつくことに追いつかない。つまり、思いついたことを書いているうちに別のことを思いつき、前のことを書いていると後から思いついたことを忘れてしまうことがあります。この場合は、前のことを途中にして、後のことを書き、前のことに戻りメモを続けると両方書けます。

思いつくことが少し途切れたら、「頭の整理の仕方」でネット検索したり、図書館の図書検索で「頭」「整理」で検索し、一覧で出た本の内容・抄録を見たり、本を読んだりして自分の考えを引き出すきっかけになるヒントを探します。自分の言葉で書き連ねることが大切です。

メモが少したまりましたら、エクセルに打ち込んで行きます。打ち込みが終わりましたら、左横に列を挿入して番号を1から振ります。番号は後で並べ替えたとき最初の状態に戻せるようにするためです。それから罫線を付けて印刷します。

「頭の整理の仕方」で思いついたことのエクセルでのメモは下記となります(一部)。

 番号 内容
3 引き出したいときに引き出せない
4 思い出せないことをすぐネットで検索しない
6 今思いついたことをそのままにしておくと結局忘れてしまう
7 手が覚える。足が覚える。
8 ヒト・モノ・カネと情報。そうそう忘れない3つのこと。
10 短期記憶の数

 

印刷した箇条書きのメモを読んで行き、思いついた分類をメモします。分類に番号付けをして、エクセルファイルに分類という列を挿入して、分類番号を打って行きます。それから分類番号で並べ替えて印刷します。印刷物を見て、分類で括られた箇条書きのメモを元に文章化して行きます。

 

5.終わりに

頭の中を整理しようにも頭の中から言葉が出てこないことがあります。箇条書きにできるセンテンスが思い浮かばなければ単語でもいいでしょう。A4の裏紙を横にして、単語を書き線でつなげるなどします。自分だけで考えていて進まない場合は、人(診断士含む)と話しながら整理するのも有効です。この場合も相手の人が整理するのではなく、相手を触媒として自分が腑に落ちるように理解・整理することが必要です。

最後に、今回紹介したテクニックで使ったエクセルファイルがあります。ご興味がありましたらメールで送りますのでご一報ください。

メールアドレスは sekkie_s@yahoo.co.jp です。

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