個人事業主・小規模事業者のビジネス交流会活用について
- 2023/3/1
- 診断士の視点
中小企業診断士 山岸 次郎
はじめに
今回は、個人事業主・小規模事業者の方など、比較的小規模の事業者の方向けに、「ビジネス交流会の活用について」触れたいと思います。また、既に活用されていて、一定の成果が上がっている方も参考にしていただければ幸いです。
ビジネス交流会とは、その名の通り、ビジネスに関る人達の交流の場になります。異業種交流会と言ったりもしますが、ここではビジネス交流会と呼ばせていただきます。「ビジネス交流会」と検索すると、沢山の交流会がヒットします。公的機関が運営するもの、民間事業者が運営するもの、単発での開催、会員制、立食つき等、形態も様々なものがあります。また、ここ数年では、オンラインでの交流会が増えているようです。共通して言えることは、どの交流会も名刺交換を行い(オンラインでは難しいですが)、お互いのビジネスについて情報交換を行う場になりますでしょうか。
このビジネス交流会ですが、特に個人事業主や小規模事業者の方には、活用するメリットが大きいと考えます。時に「売上につながらない」「意味がない」等の声を耳にすることもありますが、当然、お仕事の内容や、参加した交流会との相性、個人の特性等、難しい面もあるでしょう。ただ、交流会に8年以上携わってきた筆者としては、その活用は、多くのビジネスパーソンの方にとって有益な場であると考えます。では、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
ビジネス交流会のメリット
ビジネス交流会のメリットは、例えば以下のものが挙げられます。他にも沢山あると思いますが、以下の5点を挙げさせていただきました。
- 人脈形成に役立つ
- 情報収集、新たな発見(気づき)、刺激を受けられる
- 売上につながる可能性がある
- コミュニケーション力、商品・サービスのPR力が鍛えられる
- 商品・サービスの反応をテストできる
これを確認すると、スタートアップの方には、さらに利用価値が高いのではないでしょうか。
また、どれも大事なのですが「1.人脈形成に役立つ」が、特に大きなメリットではないかと考えます。大袈裟でなく、生涯のビジネスパートナーが見つかる可能性もあります。1度の参加で見つかるかもしれませんし、100回参加しても出会えないかもしれません。ただ、行動しないと、出会える可能性も狭まるでしょう。
「生涯のビジネスパートナーが見つかる可能性もある」と表現しましたが、それがわかるには、相当な年月が経過した後か、引退時にわかることだと思います。つまり、それまでは、お互いのビジネスメリットを享受しつつ、信頼関係を構築していくことになるでしょう。日々の業務だけでは、なかなか出会えない人と出会える場として、ビジネス交流会は活用できるのではないでしょうか。
次に「2.情報収集、新たな発見(気づき)、刺激を受けられる」ですが、これはビジネスパーソンとしては、定期的に必要な事ではないでしょうか。既にビジネスモデルが確立し売上も安定している方にとっても、新たなビジネスチャンスのヒントを得られる可能性もあります。また、離れた年代層からの刺激を受けられる点もメリットの1つです。
「3.売上につながる可能性がある」ですが、これは商品・サービスによって、売れやすい、難いがあります。心構えとしては「すぐには売れない」と思っていた方がよいでしょう。とは言え、売上につながりやすい仕組みを取り入れた交流会もありますし、その場で売れるという物販に強い交流会等もあります。ただ、ここでの注意点としては、その場で積極的な「売り込みはしない」方が良いでしょう。売り込まれるのを嫌う人は多いです。当たり前のことですが、自分がやられて嫌なことはしないようにしましょう。
「4.コミュニケーション力、商品・サービスのPR力が鍛えられる」は、交流会に参加すれば、人と話しますし、ご自身や、仕事のPRもすることになりますので、当然鍛えられるでしょう。また、質問を受けることになりますので、受け答えの練習にもなりますし、相手(お客)がどういう所に疑問を持つのか確認できる点もメリットの1つです。注意点としては、自分ばかり話さずに相手にも話してもらうように心がけておくと良いと思います。
「5.商品・サービスの反応をテストできる」は、新しく開発した(開発予定の)商品やサービスが実際に売れるのか、どうかのテストにも活用できます。考えているフロント商品が、相手に刺さりやすいか否か、改良すべき点はどこか、上記「4.コミュニケーション力、商品・サービスのPR力が鍛えられる」と内容が被りますが、例えばこの言いまわしは、相手に響くか否か等、相手の反応を確認しつつ、テストすることが可能です。
以上、メリットについて簡単に触れさせていただきました。ただ、もちろんデメリットもあります。
ビジネス交流会のデメリット
よく言われるデメリットとしては以下が多いでしょうか。
- 時間とお金がかかる
- 空振りに終わる
- 名刺交換だけで終わる
- 売り込みにあう
「1.時間とお金がかかる」は、当たり前ではあるのですが、交流会によっては高額の年会費等がかかる所もあるでしょう。別の見方をすれば、その交流会は、ある程度ビジネスが成功している方達が集まる会かもしれません。
「2.空振りに終わる」とは、何も成果が上がらなかったというケースですね。確かに、そういう時もあると思います。原因は、その交流会なのか、その日たまたまなのか、その場所がダメなのか、自分のPRの所為なのか、いくつか考えられる点が出てくると思います。これらは経験則として蓄積されるので、そうならないために、次回どうするかを考えると良いのではないでしょうか。
「3.名刺交換だけで終わる」、これもよく耳にします。私も含め、多くの人が、これを経験されているのではないでしょうか。ただ、名刺交換だけで終わらせているのは誰か? という視点もあります。また、メリットの人脈形成の個所で触れましたが、自分に合ったビジネスパートナーを獲得するには、一朝一夕にはいかない点を改めて確認しておきましょう。
「4.売り込みにあう」、これもよく耳にします。交流会の場を刈り取りの場として勘違いされている方がおられるのでしょうか。強引な営業は、ご自身の信頼を落とすだけですので、気を付けましょう。またビジネスパーソンとしては必須かと考えますが、「防御力」を鍛えましょう。これは交流会に限らずですが、こういった強引な営業や勧誘に対して捌ける力をつけておくと、そういったことに振り回されなくなります。
以上、デメリットについて触れさせていただきました。
おわりに
最後になりますが、今回は、ビジネス交流会の活用について、簡単ではありますがお伝えさせていただきました。もし、ご興味がありましたら、参加を検討されればと存じます。また次の機会がありましたら、さらに奥深く、活用するコツやテクニック的な話をお伝えできればと存じます。
ここまでお読みいただきありがとうございました。