伝わるためのプレゼンテーション“レベルアップのポイント”

中小企業診断士 古山 亮一

【はじめに】

プレゼンテーション(以下、プレゼン)とは、英語では「表現」「提示」「紹介」という意味で、一般的には商品や売り込みたいテーマや企画について、効果的に説明するための技法です。欧米人のプレゼンと言えば、アップル社の元CEO、スティーブ•ジョブス氏の製品発表会やTEDのような、かっこいい、分かり易い、伝わるショーのようなプレゼンが想起されます。それに対し、一般的に日本人はプレゼンが苦手だと言われています。日本人は奥ゆかしく、はっきり主張しない、細かいことを言葉にしない、空気を読んで理解する文化が原因の一つだそうです。

ここでは、プレゼンが苦手な方のための、自己流のプレゼンを「伝わるプレゼン」にブラッシュアップする、具体的なポイントを紹介します。

【プレゼン制作のポイント】

プレゼンの制作時のポイントを紹介していきます。

まず、プレゼンの目的を確認します。このプレゼンの目的は何か、どんな悩みをもった人に伝えるか、具体的にどんな行動に移してほしいのか、どんなテーマで何の情報を伝えるか、どのように表現するか、時間と構成はどうするか、などを確認・検討しメモにまとめます。まとめたメモからプレゼンの全体像を設計します。

次に、話の構成(流れ)を作ります。プレゼンには大きく「知りたい情報」と「伝えたい情報」の2つが存在します。聞き手の知りたい情報には論理的なものが多く、悩みを解決できるテクニックや納得できるデータなどを欲しがっています。一方で、話し手側は、背景や自分の体験や思いなど情緒的な内容を伝えたいと考えています。これら2つを組み合わせることによって、聞き手に行動に移してもらいやすくなります。論理×情緒の組み合わせにより、具体的に体験後の素敵な未来を見せます。

話の順序を組み立てるとき、先に「知りたい情報」を、後に「伝えたい情報」を並べます。一刻も早く「知りたい情報」を聞き手に伝えることで、聞き手を安心させます。また、最初と最後に「課題」を入れます。これは、最初にその場にいる全員で課題を共有ことにより、同じ目的を持ってプレゼンを進めることが出来るためです。また、最後に内容を振り返って課題に対してどうアプローチするのかを再確認するためです。

【迷いとダラダラに気をつける】

プレゼン時に気をつけるべき2つのキーワード、それは「迷い」と「ダラダラ」です。

「迷い」が生じるのは「わかりづらい」からです。スライド1枚の情報量が多すぎたり、トークとスライドの内容が噛み合っていなければわかりづらくなり迷いが生じます。「迷い」を避けるために考えられる対処法は、「1スライド1メッセージ」です。1枚のスライドには言いたいことは1つ(1テーマ)にだけに絞るためには、「このプレゼンテーションの目的は何か」「一言で言うと何を伝えたいのか」をスライド一枚一枚で考えます。このときのスライドのイメージは、引き算して内容を減らしていくというより、割り算で内容を分けてスライドを増やしていくイメージです。また、見せる資料と読ませる資料は別と考え、見せる資料は制限を設けず枚数を増やすようにします。また、文章はできる限り編集をして、スライドから一瞬で情報が読み取れるようになるまでシンプルしていきます。

「ダラダラ」が生じるのは、プレゼンのトーンが「ずっと一定」だからです。受け手のことを考えず、自分の言いたいことだけを言っていれば、ダラダラしたプレゼンになります。受け手の状態をイメージしてみましょう。プレゼンの受け手は、「受動的」と「能動的」の状態を行き来しているといえます。「受動的」とは、受け身の状態で「能動的」とは頭で考えたり、感動したりしている状態です。

プレゼンターは、受け手のこれらの状態をコントロールすることを目指します。ポイントは、プレゼンが長ければ長いほど、ずっと能動的だとつかれてしまうという点です。つまり、適度に受動的な状態を作り、受動と能動を行き来するメリハリ(強弱)が大事になってきます。「ダラダラ」を避けるテクニックとしては、明確な章の切り替わりを見せることです。例えば、背景が白いスライドが続く中で、色が背景全体に配色されているスライド(大見出し)を挟むと、章の切り替わりがハッキリしてメリハリをつけることが出来ます。また、強いメッセージや写真を全面に表示し「大胆にスライドを使う」、「次のスライドの前に一言挟む」、「質問を投げかける」、「言葉で誘導する」などもメリハリをつけるのに有効です。

【練習不足】

ここまでプレゼン制作時のポイントを説明してきましたが、構成や内容、話し方より大事な、プレゼンの出来を大きく左右するポイントは「練習」です。プレゼンが苦手で人前で話すことが苦手な方のほとんどの方が、練習をあまりしていない、練習の仕方がわからないと言います。声を出して本番同様のリハーサルを繰り返すことで、流暢に話すことが出来、プレゼンの質を上げ、緊張を緩和することにつながります。

以上、伝わるプレゼンのためのレベルアップポイントをいくつか紹介しました。このトピックで紹介しきれない、人前での話し方やプレゼンに関する事柄を下記のセミナーでさせて頂きます。宜しくお願い致します。

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