川崎市で創業しよう!~川崎市の創業支援について~

中小企業診断士 児玉 仁勝

川崎市は7月1日に市制記念日を迎え、100歳となりました。
川崎市にお住まいの皆さまや企業の皆さま、おめでとうございます。

100年とは途方もない時間ですが、100年前にどんなことがあったかを調べてみると、川崎市の誕生と同じ1924年7月1日に日本でメートル法が採用されました。また、その年の暮れには、ハッブル宇宙望遠鏡の名前の由来となったエドウィン・ハッブル氏が太陽系の外に銀河があることを発表しました。

企業活動に目を向けると、東京商工リサーチの発表では今年100周年を迎える企業は2,519社あります。都道府県別の割合では東京都が最も多く(21.0%)、次いで大阪や愛知など日本の産業を支える大都市圏が続きます。その中で神奈川県は第4位となっています。東京都の豊富な需要と港からの新しい文化が融合する場所として、多くの機会に恵まれた土地であることから、100年企業が多く生まれたのでしょう。

そんな川崎市で次の100年企業を目指して起業をしませんか?
本記事では起業に興味がある皆さんに向けて、次の情報を提供します。一つ目は創業の段階についてです。自分の立ち位置を知ることで、これから必要な情報や行動を見出しやすくなるでしょう。二つ目は創業支援策についてです。ここでは2024年6月の執筆時点で市のHPなどから確認できる支援策をご紹介します。三つ目は各創業段階での行動についてです。創業時に必要な計画と創業に関する一定の知識を身につけていることを目標として、各段階でどのような行動がとれるのかについてご提案します。

1.創業段階

創業段階は4つに分類できます。

① 希望段階
この段階は、「事業を始めたいな」と漠然とした希望を持っている状態です。何をするのか定まっていない、あるいはやりたいことがあるが動けていないといった状態がこの段階です。ここでの目標は、自分の思いや特徴を明確にし、事業の方向性を定めることです。

② 構想段階
何をするのかは決まったが、それをどう実現するのかが曖昧な状態です。この状態で起業する人も少なくありませんが、事業を始めるための基盤が整っていないため、不安定な事業となりがちです。例えば、思い立ったが吉日で起業する、特定の技術を持つ方が一部の顧客から独立を勧められて始めるなどです。この段階では、情報収集と事業の具体化が重要です。ターゲット市場を明確にし、サービスの提供方法を具体的にすることで、ビジネスの成功可能性を高めましょう。

③ 準備段階
いよいよ事業の大まかな形が出来上がり、開業に向けて具体的な行動に移している状態です。この段階では、法人を設立する手続きを進めたり、開業候補地の選定や取引先との商談を進めたりします。開業後に向けた事業計画の策定も重要で、計画は融資や出資の申し込みにかかわらず、事業を始めるための必須要素です。

④ 開業後段階
開業を果たし、実際に事業を始めている段階です。事業の主活動を行うだけでなく、管理業務や計画の進捗確認など複数のタスクを同時にこなさなければなりません。目まぐるしく時間が過ぎていく中で目標とすることは計画の実行と事業の継続です。計画した活動を一つずつ実行し、資金繰り表を作成して資金状況に目を配りましょう。

2.創業支援策

川崎市の創業支援策を紹介します。
すべてを掲載することはできませんが、主だった施策は以下の通りです。

(ア) 特定創業支援事業

「特定創業支援等事業」とは、創業者の経営・財務・人材育成・販路開拓等の知識習得を目的として継続的に行う創業支援の取り組みで、国が産業競争力強化法により定める事業を指します(川崎市HPより)。本事業では国から認定を受けた「川崎市創業支援等計画」に基づき、起業セミナー等の開催などによる創業支援を行っています。また、セミナー・プログラムの修了証明(一定の要件あり)を川崎市に提出し、川崎市の認定を受けることで、産業競争力強化法に基づく支援措置を受けることができます。制度の詳細や川崎市のセミナー・プログラムについては、以下のURLからご確認ください。
https://www.city.kawasaki.jp/280/page/0000061862.html
※2024年8月1日から支援措置の対象者が一部変更になります。特定創業支援事業を受講予定の営利法人様は必ず川崎市のHPをご確認ください。

(イ) ワンストップ型経営相談窓口

川崎市内に事業所を持つ中小企業者や川崎市内での起業を予定する方が抱える経営、税務、企業法務等の課題に対し、税理士、中小企業診断士、弁護士等、各分野の登録専門家からアドバイスを受けられる無料の相談サービスです。川崎駅西口方面の川崎市産業振興会館内で対面相談を実施しておりますが、Zoomでのオンライン相談や電話相談も行っています。具体的なご相談のほかにも、起業に向けた情報収集や起業構想の具体化など幅広い相談ニーズに対応していますので、気になることがございましたらお気軽にご予約・ご相談ください。
https://www.kawasaki-net.ne.jp/consulting/onestop.html

(ウ) ワンデイコンサルティング

経営改善の支援を行う短期の訪問コンサルティングです。中小企業、個人事業者及びNPO法人を対象に適切な登録専門家を無料で派遣します(1回2時間程度、最大3回まで)。対象は川崎市内に事業所を持つ中小企業者や川崎市内での起業を予定する方です。詳しくは、以下のURLからご確認ください。
https://www.kawasaki-net.ne.jp/consulting.html

(エ) 創業支援資金(アーリーステージ対応資金/女性・若者・シニア起業家支援資金)

開業する、または開業後5年未満の中小企業者等を対象とする融資制度です。運転資金(事業継続のための資金)や設備資金(設備の導入資金)などに利用できます。信用保証協会の保証を受ける際に通常発生する信用保証料の本人負担をゼロとする支援制度となっています。
また、このほかに、信用保証料を負担することで経営者保証を不要とする「スタートアップ創出促進資金」や、川崎市内で自社技術等を使った新製品の開発をしようとする製造業等を営む中小企業者、あるいは新分野に進出予定または進出後1年未満の中小企業者を対象とした「新製品開発・新分野進出支援資金」などもありますので、詳しくは市のHPあるいは川崎市産業振興財団金融課などでご確認ください。
https://www.city.kawasaki.jp/jigyou/category/77-33-1-1-3-0-0-0-0-0.html

なお、これらの融資制度には金融機関の審査のほかに企業診断が必要な場合がございますので、ご利用をご検討の際には余裕を持ったご相談・お申込みをお願いします。

(オ) 商業分野で起業を予定する女性への支援策

川崎市男女共同参画センター「すくらむ21」では、毎月第2金曜日に「すくらむ21プチマルシェ」を開催しています。実際にお客様と接することで販売方法や価格のシミュレーションを行うことができるでしょう。募集案内は例年2月ごろに出るようです。希望者を募ったのちに選考が行われます。興味がある方は、すくらむ21のHPでご確認ください。

(カ) 新技術や新商品などの研究開発を行う起業予定者への支援策

川崎市では次世代の産業を担うスタートアップ企業の育成と支援に力を入れています。インキュベーション施設では事業スペースの提供や創業・経営に関するサポートを提供しています。川崎市が関係している主なインキュベーション施設としては、以下のものがあります。施設によって方向性が異なりますので、詳しくは各施設のHPをご確認ください。

  • KBIC(かわさき新産業創造センター)
  • 起業家支援拠点K-NIC(Kawasaki-NEDO INNOVATION CENTER)
    ※NEDO:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
  • KSP(かながわサイエンスパーク)
  • 明治大学地域産学連携研究センター
  • 川崎アントレサロン

また、明治大学地域連携研究センターでは、本センターに整備している試験分析・試作加工装置について利用環境の提供事業を行っています。対象分野はナノエレクトロニクス、化学、バイオ、機械などで、対象者は神奈川県域その他の中小企業者および個人事業主です。詳しくはセンターのHPでご確認ください。

そのほか、国が行う小規模事業者持続化補助金など、創業期でも活用できる補助金や、商工会・商工会議所などの支援もあります。

3.各創業段階の行動

ここでは、各創業段階で有効と思われる施策をご紹介します。なお、基本的に前の段階で紹介した施策はそれ以降も有効であるとご認識ください。

① 希望段階
ここではご自身のやりたいことやその動機・目的をはっきりさせましょう。ご自分の経験を振り返って、事業に生かせるものや他人が簡単には真似できないものを見つけていきましょう。その過程では「ワンストップ型経営相談窓口」に相談することも有効でしょう。専門家との会話の中から事業の方向性や自分の特徴が見つかるかもしれません。また、インキュベーション施設や商工会議所、金融機関などが行っている「創業セミナー」を受講するのも良いでしょう。そして、将来の創業を目指すのであれば、この段階から創業のための自己資金を貯めておくことをお勧めします。

② 構想段階
ここでは「やりたいこと」をどのように実現するのか、いわゆるビジネスモデルを構築します。その相談相手として前述の「ワンストップ型経営相談窓口」のほかに、インキュベーション施設のインキュベーションマネージャーなどがあるでしょう。また、より具体的な課題に対しては「ワンデイコンサルティング」を利用することができます。さらに、特定創業支援事業のセミナー・プログラムを受講して経営の体系的な知識を学ぶことは、今後の事業運営に良い影響を与えるでしょう。

③ 準備段階
この段階では具体的な創業に向けての準備や事業計画の策定などを行います。
事業計画の策定については金融機関がセミナーを行っていますし、先にご紹介した相談先でも計画のブラッシュアップのためのアドバイスを行っています。それらの支援と並行して経営知識の蓄積や認定後の支援措置などから、この時期までに特定創業支援事業のセミナー・プログラムを受けておくと良いでしょう。
また、研究開発分野であればインキュベーション施設に事業スペースを持つことは刺激になるでしょう。商業であればテストマーケティングを行い、商品や価格などに対する消費者の反応を調べておきましょう。最初のお客様は身内でも良いですし、「すくらむ21プチマルシェ」のような場所もあります。
そして、開業に自己資金以上の資金が必要であれば、資金調達手段の一つとして金融機関からの融資を選ぶこともできるでしょう。必ず融資が実行されるわけではありませんが、川崎市の制度融資や日本政策金融公庫などでは創業を支援する目的の融資があります。

④ 開業後段階
そして開業です。これからは事業の継続があなたの責任になります。事業の継続のため、利用できる支援策は大いに活用しましょう。いろいろな人を頼りましょう。ハッブル氏も一人ですべてを成し遂げたわけではなく、支援者がいたことでしょう。あなたの功績が100年後に届くように、川崎市には多くの支援機関と多数の専門家があなたの事業を支援できるときを待っています。

もちろん、事業の支援策はこれだけではありませんし、川崎市だけに限りません。公的な支援であれば「J-Net21(https://j-net21.smrj.go.jp/)」で検索することができますのでご利用ください。

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