川崎市市政100周年と「特別市」構想

中小企業診断士・技術士(情報工学部門) 嶋田 弘僧

川崎市は令和6(2024)年7月1日に市制100周年を迎えました。また、川崎市は「特別市」の実現を目指しています。これらの動きによる中小企業への影響について考えたいと思います。

1.川崎市市政100周年

川崎市は令和6(2024)年7月1日に市制100周年を迎えました。この歴史的な節目を、次の100年に向けて「あたらしい川崎」を生み出していくためのスタートラインとして、オール川崎市で、多彩な記念事業が展開されています。

(1) 川崎市市制100周年記念式典 https://www.city.kawasaki.jp/170/page/0000165291.html
川崎市が市制100周年を迎えた2024年7月1日に、ミューザ川崎シンフォニーホールにて、「川崎市市制100周年記念式典」が開催されました。式典では、パイプオルガンの演奏や市の魅力や歴史を振り返る記念映像の上映、記念表彰式のほか、この日のために結成したオーケストラ及び合唱団(約520人)による記念演奏が行われました。

(2) かわさき飛躍祭 https://www.kawasakicity100.jp/event/event-4080/
記念式典に先立ち、6月29日に「かわさき飛躍祭」が開催されました。飛躍祭では、スポーツ体験や食などで一日を通じて楽しめる「アッと等々力フェス」、川崎ゆかりのアーティストが集結した「かわさき100 フェス」、川崎フロンターレの「市制100 周年記念試合」、航空自衛隊ブルーインパルス展示飛行を組み合わせた祝賀イベントが等々力緑地一帯で開催され、イベント全体で約18万人が来場しました。

(3) 第41回全国都市緑化かわさきフェア https://green-for-all-kawasaki2024.jp/
今後開催されるイベントとして「第41回全国都市緑化かわさきフェア」があります。全国都市緑化フェアは、市民一人ひとりがみどりの大切さを知るとともに、みどりを守り、たのしめる知識を深め、みどりがもたらす快適で豊かな暮らしがあるまちづくりを進めるため、昭和58(1983)年から毎年、全国各地で開催されている「花と緑の祭典」です。かわさきフェアの開催概要は下記の通りです。

提唱:国土交通省
主催者:川崎市、公益財団法人都市緑化機構
実施主体:川崎市市制100周年記念事業・全国都市緑化かわさきフェア実行委員会
開催期間:
秋 令和6(2024)年10月19日(土)~11月17日(日)
春 令和7(2025)年3月22日(土)~4月13日(日)
コア会場:富士見公園、等々力緑地、生田緑地
愛称:Green For All KAWASAKI 2024
統一主題:みどりで、つなげる。みんなが、つながる。

(4) 市制100周年記念事業(公募)
市制100周年記念事業に伴い、多くの公募がありました。主な公募を挙げます。
・【入札情報】みんなの川崎祭交通規制に伴う一般交通影響解析業務委託[2024年5月13日]
・【事業者募集】「市役所通り活用イベント2024企画実施業務委託」の公募型プロポーザルを実施します[2024年5月8日]
・川崎市市制 100周年記念事業実施計画策定等支援業務委託 公募型プロポーザル参加事業者の募集について[2024年2月13日]
・【入札情報】川崎市市制100周年公式ポスター印刷・配送等業務委託について[2024年2月5日]
・令和6年度川崎市市制100周年記念事業・全国都市緑化かわさきフェア実行委員会運営支援等業務委託に係る公募型プロポーザルの実施について[2024年2月1日]

2.「特別市」構想

川崎市は、県の区域外となり、原則として県の仕事をすべて担う「特別市」の実現を目指しています。

(1) 特別市とは
特別市とは、まだ法制化されていませんが、次のような制度です。
・ 川崎市が神奈川県の区域外となる制度です。
・ 川崎市が原則として、県の仕事をすべて担い、権限と財源を市に 一本化します。
特別市になると、次のように変わります。
・二重行政を解消し、市民サービスが向上します。
道府県、指定都市で分かれている業務を統合し、窓口を一本化することで、手続の簡略化など、市民の利便性が向上します。
・素早い対応ができるようになります。
県を通さず国と直接やり取りすることで、新型コロナウイルス感染症対応や災害対策もニーズに沿った対応が可能になります。

(2) 特別市への移行によるメリットと課題
特別市に移行すると以下のメリットが得られます。
<メリット>
1 窓口一本化によって市民サービスが向上します
2 司令塔の一本化により迅速、かつ地域の実情を踏まえた課題解決が可能となります
3 事務の効率化・組織の簡素化によって経費削減につながります
4 地方税を一元的に賦課徴収することによって大都市特有の課題を解決することができます
5 日本全体の経済成長を牽引します
特別市制度は多くのメリットがある一方、解決すべき課題もあります。川崎市が考える課題は、以下のとおりです。
<課題>
1 特別市は制度化されておらず法改正が必要
2 広域的な課題への対応
3 周辺自治体への影響
川崎市では、指定都市市長会と連携しながら、国などへ法改正を求める要請を行うとともに、県内の市町村に対しては、県内他指定都市と連携しながら、制度理解の促進に向けた取組を進めていきます。
一方、神奈川県は、次のような懸念を示しています。
第1に、県が果たしてきた総合調整機能に支障が生じるおそれがあります。
第2に、財政面からも、県内全域で現行水準の行政サービスが提供できなくなるおそれがあります。
第3に、県民・市民にとって大きな費用負担が生じます。
第4に、住民代表機能への影響があります。
いずれにせよ、法制化されるまで時間がかかることが予想されますので、直ちに影響が出ることはないと思われます。

3.これらの動きによる中小企業への影響

市制100周年記念事業の公募は、100年の年も後半になって少なくなっています。次の100年に向けて新たな事業がスタートし、あるいは継続する事業があると思われます。入札・事業者募集などを注視する必要があります。
「特別市」は、法制化されるまで時間がかかることが予想されますので、すぐには施策が打ち出されることは期待できませんが、今後の進展により新たな施策があるかもしれません。つまり、二重行政の解消により、これまで県と市とで行われていた中小企業支援施策が変化するかもしれません。これらの動きに関心を持ってフォローしておくことが大切です。

【関連リンク】

川崎市市制100周年記念事業公式ウェブサイト https://kawasakicity100.jp/
川崎市市制100周年記念式典(フルバージョン)https://www.youtube.com/watch?v=F4EXY1I9ADw
特別市をわかりやすく https://www.city.kawasaki.jp/170/page/0000141419.html

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