2025年問題に関連した中小企業の人材不足とその対策について

中小企業診断士 山岸 次郎

新年明けましておめでとうございます。本年も何卒よろしくお願い申し上げます。
今回は、2025年問題に関連して企業が抱える人材不足について触れたいと思います。新年早々、暗い話になりますが、避けて通ることはできないテーマであると考えます。

1.2025年問題とは

以前からも言われておりましたが、そもそも、「2025年問題」とは、どのようなものでしょうか。「2025年問題とは、国民の5人に1人が後期高齢者(75歳以上)の超高齢化社会を迎えることで雇用、医療、福祉といった日本経済や社会の広い領域に深刻な影響を及ぼす諸問題の総称」と定義されているようです(図1参照)。

図1:高齢者人口及び割合の推移(1950~2045年)
 (出典)総務省統計局「総計からみた我が国の高齢者」

急速に進む少子高齢化で、「社会保障費の負担増大」や「医療・介護体制維持の困難化」などが問題視されておりますが、特に中小企業にとってどのような問題があるのでしょうか。各企業や業界による等、様々な問題があると思いますが、共通して言われていることに、以下の2点が挙げられます。

  • 人材不足になる
  • 事業承継が難しくなる

この2点については、以前からも取りざたされてきたと思いますが、今後さらに深刻な問題となりそうです。労働人口が減少しておりますので、当然と言えば当然の状況でありますが、企業はどのように対策を打てばよいのでしょうか。既に取り組んでいる企業も、そうでない企業も引き続き重要課題になると考えます。この2点のうち、事業承継については別の機会に譲るとして、今回は人材不足について、もう少し触れたいと思います。

2.人材不足への対策

この課題について、企業はどのように取り組んでいるのでしょうか。労働人口の減少に加えて、若者の仕事に対する価値観の変化も採用や定着率に影響しますので、この点も考慮する必要があると考えます。 以下は、企業が対策を講じている主な内容です。他にもまだあると思います。

  • 新規採用時の工夫
  • 職場環境の改善
  • 働き方の改善
  • 外部パートナーとの連携
  • DXの推進
  • シニア層の活用
  • 外国人の採用

全ての項目に触れるには紙面が足りませんので、いくつかピックアップしてコメントしていきたいと思います。

    ①新規採用時の工夫
    採用時の工夫については、SNSの活用、複数回面接、ダイレクトリクルーティング、第二新卒採用等を実施しており、近年は、第二新卒採用に力を入れている企業が増えているようです。メリットとしては基本的なビジネスマナーを教える必要がない、即戦力として活躍してもらえる等があります。いずれにしても、ミスマッチを最小限に抑える為、面談や職場見学、業界の説明、企業の強み弱み、就業後のキャリアアップ等、多くのコミュニケーションをとることが必要と考えます。

      ②働き方の改善
      働き方については、定着率に係わってきますが、近年は特に「ビジネスケアラー」問題がクローズアップされてきておりますでしょうか。筆者も経験がありますが、親の介護と仕事を両立させることは困難を極めます。心身が疲弊し、共倒れになる可能性もあります。最悪の場合、大袈裟ではなく事件に発展する可能性もあるでしょう。さらなる国の対策を期待したいところですが、企業としては、まずは経営者の意識改革、相談窓口の設置など各従業員の状況把握、柔軟な就業形態等の対策が必要になってくるかと考えます。
      また、女性の出産・子育て等のライフイベントに合わせた就業形態や、シニア層に合わせた短時間勤務等の整備もできるとよいのではないでしょうか。

        ③DXの推進
        人材不足を業務効率化で補うため、DXを推進する考えがあります。DX自体、国や自治体も基本戦略として謳っておりますが、中小企業では、あまり進んでいない印象です。ここでは触れませんが「2025年の崖」という言葉もありますので、よろしければ検索して情報収集してみてください。
        中小企業でDX化が進んでいない原因の一つとして、社内に分かる人間がいないことが挙げられるでしょうか。そこは、外部の力を借りて進めていくしかないと考えます。また、一気にDX化を進めると、多大な費用がかかりますし、社内が混乱するばかりか、いつまで経ってもシステムが稼働しない等、失敗する可能性も大きくなります。まずは、着手しやすい所から着手し、少しずつ対応していくと進めやすいと考えます。
        また、業務オペレーションに合わせてシステム開発するわけですが、場合によっては業務オペレーションをシステムに合わせて変更していく柔軟さも、必要になってくるかもしれません。

          ④外国人の採用
          人材不足を外国人採用で補うことが挙げられます。筆者の支援先の企業様も活用されております。訪日外国人への対応が可能になるメリットに加え、場合によっては、「人材確保等支援助成金」「人材開発支援助成金」等が得られる可能性もあります。
          ただし、デメリットもあります。

          • 文化や生活習慣の違いがある
          • 言語の問題でコミュニケーションが取りづらい
          • 雇用の手続きが分からない

          これらが、デメリットとして挙げられるでしょうか。文化や生活習慣の違いは、最初は苦労しそうです。日本人ならば1を言えばよいところ、10を伝えなければならないかもしれません。言葉の問題も意思の疎通が取りづらく大変だと思います。雇用手続きも煩雑そうです。よって、専門の業者がいますので一度ご相談されるとよいと思います。上記の助成金を含め、デメリットについての対策も用意されているでしょうし、人材不足解消の一つの可能性として、ご検討してみてはいかがでしょうか。

          以上、今回は、中小企業の人材不足について書かせていただきました。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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